対象疾患
小児脳性麻痺(CP)
小児脳性麻痺とは、赤ちゃんがお腹にいる状態から生後4週までの間に、何かしらの影響で脳に障害を受けて引き起こされる「運動機能の障害」などの症状を指します。
脳性麻痺は遺伝子の異常ではありません。原因は様々で、妊娠高血圧症候群 (妊娠中毒症)やウイルスなどの感染、出産時の仮死分娩や重症黄疸による核黄疸、頭蓋内出血の合併症などがありますが、原因が特定できないケースもあります。
脳の損傷そのものは進行しませんが、身体の成長とあわせて筋肉や関節がさらに固くなったり、骨が変形したりします。なるべく早めにマッサージを開始すると、進行の予防や症状改善につながりやすくなります。
症状の特徴
- 関節や筋肉がガチガチに固い
- 視力が弱い
- 手足に麻痺があって動きにくい、動かせない
- うまく発声できない
- 手足や首がピクピク勝手に動く
- 飲み込むのが困難
- 身体がねじれる
脳質周囲白質軟化症(PVL)
脳質周囲白質軟化症(PVL)とは、早産児などの脳に血液が十分に行き渡らず、運動障害を起こしてしまう病気のこと。 脳性麻痺の原因となる場合もあります。主に早産が原因とされていますが、詳しいことはわかっていません。
できれば2歳ごろまでの早期にリハビリやマッサージなどを開始することで、脳の補完機能が構築され、劇的な改善を見せるケースもあります。
症状の特徴
- 脚の筋肉が固まって動かせない
(脳性麻痺に至った場合は、前項を参照ください)
筋ジストロフィー(CMD)
筋ジストロフィーとは、手足などを動かす筋肉が壊れて次第に筋力が低下していく、遺伝性筋疾患の総称です。遺伝子異常によって必要な物質が作れないため、菌細胞が壊れてしまうのが原因です。先天的に症状が見られる場合と、3~5 歳頃に症状が出始める場合があります。
マッサージで骨の湾曲予防や強張った関節を緩める、ふくらはぎの痛みを取り去るなどが可能になります。
症状の特徴
- 歩き始めるのが遅い
- 全身の筋力が弱まっていく
- 転びやすい、走るのが遅い、急に足取りがおぼつかなくなる
- 筋肉が弱くてふにゃふにゃしている
- ふくらはぎがパンパンで痛い
染色体異常、ダウン症
染色体異常とは、先天的に染色体の構造や数などに異常があり、そのために様々な症状を示すものです。染色体異常には、ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、 13トリソミーなどの種類があり、特有の顔つきが見られます。
マッサージによって固まった関節を和らげ、側弯などの進行を予防できます。
症状の特徴
- 首のすわりが遅い
- なかなかお座りできない
- つま先が内向きになる(内反:ないはん)
- 顔だちが特徴的
てんかん
てんかんとは、脳の神経細胞に突然激しい放電(てんかん脳波)があり、繰り返し発作を起こす脳の病気です。発作は、 けいれんや不随意運動、一意的に意識を失うなどの状態になり、年齢や性別に関係なく発病します。
てんかんの発作によって脳性麻痺や運動機能障害を発生する場合もありますが、脳性麻痺によっててんかんになる場合もあります。
患者様からは、「マッサージを始めてから、てんかんの発作が起きづらくなった」という声をいただいています。
症状の特徴
- 意識が飛ぶ
- 全身がけいれんする、震える
- 手足がつっぱる、ねじれる
廃用性萎縮
廃用性萎縮とは長い間、筋肉を使わないことで起きる筋の委縮です。長時間使わなかった筋肉が衰え、筋委縮や骨萎縮、 骨粗しょう症や機能障害にもつながります。寝たきりのお子さんに多く見られる症状です。
マッサージによって筋肉や関節をほぐすことで、症状の進行を防ぎます。また、患者様からは「便通がよくなった」という声もいただいています。
症状の特徴
- 筋肉が委縮する
- 関節が拘縮する
- 便秘になる
- 背骨が曲がる(側弯)
発達障害・自閉症
※発達障害や自閉症のお子様の場合、保険適用の対象外となるため、治療院での医療マッサージやご自宅で親御様に行って頂きたいマッサージの指導が基本となります。
発達障害は、主に脳の先天的な機能障害によって生じる、発達の遅れのことです。原因ははっきりとしていません。発達障害は、広汎性発達障害・ 学習障害(LD)・注意欠陥多動性障害(ADHD)の3種類に分類されており、自閉症やアスペルガー症候群も発達障害のひとつです。
自閉症とは、発達障害の広汎性発達障害に分類されます。言葉の発達の遅れ、対人関係・社会性の障害、パターン化した行動・こだわりという3つの特徴を持ちます。自閉症の原因もわかっていません。
マッサージによる刺激が、子供たちのストレスをやわらげる働きをします。
症状の特徴
- 同じ発達障害でも、それぞれによって症状は大きく違います